中山間地域フォーラムは、9月24日、「中山間地域等直接支払制度の集落機能強化加算の廃止に関する意見書」を武村展英農林水産副大臣に提出いたしました。
中山間地域等直接支払制度の集落機能強化加算の廃止に関する意見書
2024年9月24日
特定非営利活動法人中山間地域フォーラム
農林水産省は、令和7年度予算概算要求において、中山間地域等直接支払制度の集落機能強化加算を基本的に廃止することを明らかにした。しかしこの加算措置は、「食料・農業・農村基本計画」(令和2年3月閣議決定)による新しい農村政策の展開を背景に同制度の第5期対策で新設されたばかりで、その短期間での廃止は、以下のとおり、農村現場に多大の混乱を生ずるだけでなく、制度の根幹に係る変更として基本計画の趣旨にも矛盾するものである。
私たち中山間地域フォーラムは、全国の地域リーダー、地方自治体、研究者等と連携して中山間地域等を支援する活動を続けているものとして、農林水産省に対し、集落機能強化加算の廃止方針を撤回し実質的に継続するよう強く提言するものである。
1.
高齢化や人口減少が加速する中山間地域等の農業を維持するためには、営農以外の視点も含めた集落機能の強化が近年ますます重要になっており、第4期対策の最終年には試行的な加算措置が講ぜられるとともに、最終評価報告においても「集落機能(農村協働力)を強化し、農業生産の基盤となる農村社会を維持することが必要」との考え方が随所に示された。このような状況から、現行の「食料・農業・農村基本計画」においては、今後の農村政策として、農業以外の視点も踏まえ「地域コミュニティー機能の維持や強化」を推進することとされ、「新しい農村政策の在り方に関する検討会報告」(令和4年4月)においても、「集落機能強化等を後押しする加算措置の更なる活用により、『くらし』の視点を含めた地域課題の解決を図る」ことが強調されたところである。
集落機能強化加算は、こうした動きを受け第5期対策の重要項目として新設されたものであるにもかかわらず、その成果について第三者委員会等における検証も行われないまま短期間で廃止することは、朝令暮改であり、基本計画との整合性及び政策形成の透明性からみて重大な問題がある。
2.
集落機能強化加算は、すでに高齢者の見回り、買い物支援等に広く活用されて集落機能の強化に大きな役割を果たしており、耕作放棄の抑制や農業生産の維持にも大変良好な効果をもたらしている。加算を活用する協定数も年々増加傾向にある。こうしたことから、加算廃止の方針は、地域の現場に大きな失望と混乱をもたらしており、集落の一体的な取組みに努めてきた地域リーダーや市町村の信頼を大きく裏切るものとなっている。
3.
農林水産省は、「新設するネットワーク化加算を受ける集落については従来の集落機能強化加算も実質的に継続できるよう検討する。」としている。しかし集落機能強化加算は、協定の柱である「集落戦略」が着実に進展するよう「くらし」の視点を含めて集落機能の強化を図っていこうとする別個の措置であり、個別で集落活動を行う集落の集落機能強化の取組み(営農に関するもの以外)を、ネットワーク化に取り組まないとの理由だけで支援しない理由は全くない。同加算項目の廃止により、くらしの視点を含めた集落機能強化の重要性が地域の現場に伝わらなくなる影響は極めて大きいものがある。
以上
2024年7月6日に開催したシンポジウムの登壇者資料を掲載します。
1.プログラム
2.開催挨拶 中山間地域フォーラム副会長 野中和雄氏
3.【解 題】 増田レポートから10年を振り返る ―地方創生と現場の反応―
法政大学現代福祉学部 教授 図司 直也 氏
4.【現場レポート】 キャンペーン「この地でずっと」の報告と新旧地方消滅論の
波紋
日本農業新聞編集局メディアセンター部次長 尾原 浩子 氏
5.【地域からの報告①】今、小国町で動き出したこと
山形県小国町総務企画課 政策企画担当主査 横山 真由美 氏
6.【地域からの報告②】森のめぐみはタダでよかですか?
熊本県水俣市久木野ふるさとセンター愛林館館長 沢畑 亨 氏
本年度のシンポジウムは、7月6日(土)に恒例の東大農学部弥生講堂にて、「人口減少下の農村ビジョンを考える~市町村消滅論を越えて~」という喫緊のテーマで開催することと致しました(詳細はPDF参照)。
17時のシンポ終了後には、コロナで中止していた懇親会も5年振りに開催しますので、多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。参加申込は、tebento-staff@chusankan-f.orgからメールにてお願い致します。
*メールは以下の記載をお願いします。
【件名】シンポ申し込み
【本文】①氏名、②所属、③勤務地または住所の都道府県名
④懇親会参加の有無(*当日参加も可能です)
【趣旨】
食料・農業・農村基本法の改正案が国会に提出されました。
昨年9月の食料・農業・農村政策審議会の答申については、農業政策と車の両輪である「農村政策」の検証・見直しが不十分であるとの指摘が種々ありましたが、法案はどのような内容になっているでしょうか。
4半世紀ぶりに本格改正となる基本法の農村政策について検証し、国民全体の視点から今後の農村政策のあり方について議論します。
(参考)
審議会答申に関する議論については、今年2月発行の『季刊農業と経済』2024年冬号の特集の各記事が参考になると思います。
英明企画編集株式会社HP https://www.eimei-information-design.com/nokei
【日時】 4月30日(火)19:30~21:10
【プログラム】
1.講演「食料・農業・農村基本法の改正と農村政策のあり方」
図司直也氏(法政大学現代福祉学部教授、農林水産省中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会委員長)
2.コメント
3.意見交換 進行:野中和雄氏(中山間地域フォーラム副会長)
【形式】Zoomミーティング
【参加費】無料
【定員】100名
【申込方法】
以下を記載してメールでお申し込みください。
件名:4月30日研究会申し込み
本文:①名前、②所属、③連絡先メールアドレス
【送信先】 tebento-staff@chusankan-f.org
【締切】
4月30日(火)12:00
★研究会開始までに、Zoomミーティング参加アドレスをメールにてお知らせします。なお、定員100名に達し次第、締め切らせていただきます。
12月14日に開催いたしました2023年度第1回研究会「食料・農業・農村政策の行方と現場の動き」の登壇者資料を掲載します。
1.野中和雄氏
・レジュメ「食料・農業・農村政策の見直し議論を考える」
・資料1「食料・農業・農村政策審議会答申(令和5年9月)の構成」
・資料2「食料・農業・農村基本計画の構成比較(農村振興部分)」
・資料3「農村政策に係る基本法改正の視点」
2.豊増洋右氏
・里山はソフトである
3.小葉松真里氏
・農業と関係人口的関わり方が生み出す可能性
食料・農業・農村基本法と政策の見直しが行われようとしています。
9月の食料・農業・農村政策審議会の答申については様々な評価があります。今後の
農村政策はどうあるべきか。
一方、農業・農村の現場では新たな動きが続いています。「マルチタスク農蜂家」「フリーランス農家」を迎え、今後の農業・農村政策の姿をも見据え議論します。
■中山間地域フォーラム2023年度第1回研究会■
【日 時】 12月14日(木) 19:30~21:30
【テーマ】 食料・農業・農村政策の行方と現場の動き
【形 式】Zoomミーティング
【定員】100名(先着順・定員に達し次第締め切ります)
【プログラム】
◆第1部 食料・農業・農村政策の見直し議論を考える
中山間地域フォーラム副会長 野中和雄 氏
◆第2部 いま農業・農村現場で起きていること
㈱ONE DROP FARM 豊増 洋右氏
フリーランス農家 小葉松 真里氏
【申込方法】
以下の要領でメールにてお申し込みください。
〇件名:研究会申込
〇本文:①お名前 ②ご所属またはご職業 ③連絡先メールアドレス
【送信先・問合せ先】 mailto:tebento-staff@chusankan-f.org
【締切】12月11日(月) ※空きがあれば直前までお受けしますが早めにお申し込みく
ださい。
【視聴用アドレス】
お申込み受付後、開催数日前までにご視聴用のZoomミーティングアドレスをメールにてお知らせします。
当フォーラムの友好団体であるNPO地球緑化センターは、総務省「地域おこし協力隊」のモデルとなった「緑のふるさと協力隊」を実施していますが、第31期の募集を始めることになりましたので、お知らせします。詳細はPDFファイルを参照願います。
なお、これまで「緑のふるさと協力隊」を受け入れている地方自治体では地方交付税も活用しているとのことです。
4年振りに東大農学部弥生講堂で開催したシンポジウムは、お陰様で150人を超える参加者を得て、盛会となりました。ありがとうございました。参加者からは、会場でのリアル開催を待ち望んでいた、配布資料の中身が濃かった等の高い評価を頂きました。
ご参考まで、当日の配布資料を以下のように掲載致しますので、ご一読願います。
2023年4月に中山間地域フォーラムの会報no.9が発行されました。フォーラム会員の皆様は既に郵送しておりますが、PDFファイルも「会員ページ」よりダウンロードできますので、併せてご活用願います(会報no.1から全ての会報を閲覧できます)。
今年度の会報では、昨年度、当フォーラムが「農業集落調査問題」に対して行った意見書公表(9月15日)、緊急研究会開催(10月28日)、緊急提言公表(2月3日)を踏まえて、「農業集落調査問題の本質」を特集しています。
農林水産省が、2025年農業センサスの農業集落調査を廃止する案を示したことに対し、当フォーラムは既に昨年9月に反対する旨の「意見書」を提出しておりますが、農水省は度々「代替案」を示したものの、なぜ廃止するのかという疑問に今だ充分に答えていません。
そこで、調査の最終案が固まる前に改めてなぜ廃止するのか等の基本的疑問に答えべきであるとの趣旨で、2月3日(金)に「緊急提言」を公表し、記者会見も行いました。
当フォーラムの友好団体である地球緑化センターが下記の日程で「第29期緑のふるさと協力隊 活動報告会」を開催しますのでお知らせします。
申込は、同センター
(℡:03-5542-0132、メール:furusato@n-gec.org)宛にお願いします。
日時:3月18日(土)13:30~16:30
会場:連合会館201会議室(東京区千代田区神田駿河台3-2-1
交通:メトロ千代田線新御茶ノ水駅、丸ノ内線淡路町、都営新宿線
小川町駅駅 B3出口すぐ
当フォーラムが編集した「中山間地域ハンドブック」は昨年3月に農山漁村文化協会から発行されましたが、お陰様で全国的に好評を得て販売部数の増加が続いています。発行1年が近くなりましたが、 この度、第2回目の増刷(3刷)が決まりましたので、御礼を兼ね てお知らせ致します。
なお、書店での入手が難しい場合は、下記宛てに照会願います。
(参考)価格:1,800円+税+送料、発行所:農山漁村文化協会
(〒107-8668東京都港区赤坂7丁目6-1 ℡03-3585-1142)
10月28日に開催した緊急研究会は夕刻過ぎにもかかわらず多くの方々にご参加頂き、誠にありがとうございました。基調報告を行った橋口卓也氏(明治大学)の資料を掲載致します。
明治大学 橋口卓也 氏
当フォーラムは、先日、「農業集落調査に関する意見書」を発表しましたが、他団体からも同趣旨の意見表明等が増えてきています。うち、「農業集落調査継続を求める署名活動」のウェブサイトを管理している東京大学農学部有志よりリンクの掲載依頼がありましたので、掲載致します。https://www.shurakuchousa.com/
農林水産省は、2025年農林業センサスの農業集落調査の廃止方針を示しています。特定非営利活動法人中山間地域フォーラムは、農業集落調査の廃止は、農村振興やこれを支える学術研究に深刻な影響があると考え、9月15日、別紙のとおり「農業集落調査に関する意見書」を発表するとともに、生源寺会長から農林水産省統計部長及び同農村振興局農村政策部長に提言しました。
2022年4月
中山間地域フォーラムの会報vol.8が発行されました。会員の方はPDFファイルを会員ページよりダウンロードできますのでご活用ください。
今年度の会報では「新たな農村政策をつくる」を特集しています。
田園回帰や関係人口の潮流に加え、コロナ禍に伴う地方移住の動きも出てきて、かつて消 滅の危機も懸念された中山間地域が「再生から未来への創造」に向け新たな展開を始めてい ますが、地方自治体や地域では人材が不足し、最新の知見や情報も十分届いていない状況に あります。
このため有識者がネットワークを組んでボランティアで支援活動を行っている「中山間地 域フォーラム」(生源寺眞一会長)では、このたび、中山間地域に関するわが国初の「白書」 として国民の皆様に理解を深めていただけるよう、また地域おこしに携わる地域リーダー、 自治体職員、地域おこし協力隊員、大学生、高校生等の活動のテキストとなるよう、わが国 初の「中山間地域ハンドブック」を刊行しました。
内容は、佐藤洋平東京大学名誉教授、生源寺眞一福島大学教授を始め、農村での実践的活 動にも取り組む第一線の研究者やジャーナリスト、地域リーダー、元町長など実践者がボラ ンティアで執筆。歴史・課題・データ分析に続いて、「田園回帰」「半農半 X」「関係人口」 「田園文化」など 36 のテーマでコンパクトに解説するとともに、全国のユニークな事例、 経験豊かな識者の刺激的な提言を盛り込んでいます。いわば中山間地域おこしの教科書・辞 書であり、考えるヒント満載の内容になっています。
なお、このハンドブックは、中山間地域に熱い思いを抱かれた一市民の方からの遺贈金を 基にしており、若い人にも広く読んでもらえるよう中山間地域フォーラムも印税を受け取ら ずに定価を抑えています。
「中山間地域ハンドブック」
- 監修 佐藤洋平・生源寺眞一
- 企画・編集 中山間地域フォーラム
- 発行 農文協 定価 1980 円(税込)
【目次】
Ⅰ 中山間地域とは、その歴史と課題
Ⅱ データで見る中山間地域
Ⅲ テーマで見る中山間地域の課題
《戦略》 地方創生 人口動向 脱炭素と農業 田園回帰 地元学 粗放的土地利用
《くらし》 集落機能と資源管理 地域運営組織 小さな拠点 農村医療・福祉 学校教 育 鳥獣害 農村景観と田園文化 棚田保全
《しごと》 農山漁村発イノベーション 地域経済循環 特徴的な農業 自伐型林業 6 次産業化 起業・継業 半農半 X グリーン・ツーリズムと農泊 エコミュ ージアム 再生可能エネルギー 新技術の活用
《人材》 地域リーダー 外部人材 社会教育と公民館運動 関係人口
《政策》 農村政策の新展開 中山間地域等直接支払制度 日本型直接支払制度 条件不 利地域対策 EU の共通農業政策 自治体農政 地域政策の総合化
Ⅳ 地域事例に見る中山間の近未来
島根県邑南町、高知県梼原町、宮崎県西米良村、山形県飯豊町、群馬県南牧村、岩手 県西和賀町大野集落、 福島県鮫川村、長野県飯島町田切地区、熊本県菊池市きら り水源村、宮崎県美郷町渡川地区ほか
Ⅴ 中山間地域再生のポイント―私はこう考える―
多田朋孔 役重眞喜子 佐藤洋平 生源寺眞一 野中和雄 村田泰夫 小田切徳美 守友裕一 藤山 浩 矢野富夫 太田信介
1.上田女子短期大学 木俣 知大 氏
「森林サービス産業」の考え方とその概要
〜農政と林政の共創を通した「山村振興」等への期待〜
2.長野県林務部森林政策課 小澤 岳弘 氏
森林サービス産業
長野県における支援施策の状況
3月2日(水)14除~16時に本年度第2回目の研究会(森林サービス産業~展望と課題~)の資料(PDF)を公開しております。
2021年5月18日(火)に開催させていただきました2021年度の第1回研究会の 登壇者資料がダウンロードできます。
2021年4月
中山間地域フォーラム
会報No.7が発行されました。
会員の方は会員ページよりダウンロードできます。
新しい食料・農業・農村基本計画が2020年3月31日に閣議決定されましたが、この計画に、フォーラムの政策提言「総合的な農村政策の再構築を!」(2019年11月)が別添対比表のとおり反映されました。
計画内容にはなお不十分な点や残された課題もありますが、旧計画に比べると大幅な改善が図られており、フォーラムとしても大いに貢献できたのではないかと考えます。昨年来のシンポジウム、研究会、提言等にご協力いただきました会員及び関係者の皆様に心から御礼申し上げます。
今後はこの新しい基本計画に書かれた政策を迅速かつ効果的に実現していくことが重要であり、フォーラムとしては、今後ともその動きを注視し、全国の中山間地域の皆様と連携しつつ、現場目線に立って活動して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
2019年11月19日に公表しました中山間地域フォーラムの政策提言「総合的な農村政策の再構築を!-食料・農業・農村基本計画の改定に関する緊急提言―」(全文)が、立命館大学の2020年度大学院入試問題に使用されました。なおフォーラムとしては著作物の2次利用の依頼を受け許諾しました。
中山間地域フォーラムは、このたび政策提言「総合的な農村政策の確立を!——食料・農業・農村基本計画の改定に関する緊急提言——」をまとめ、11月19日に生源寺眞一会長から末松農林水産事務次官へ手交しました。また同日、記者発表を行いました。
食料・農業・農村基本計画は、今後の農村政策のあり方を決める重要な計画ですので、市町村や地域の農業者や住民の皆様及び一般国民の皆様にも積極的な関心を持っていただきますようお願いいたします。
なお、本提言は、フォーラムが6月に開催しましたシンポジウム及び10月に開催した研究会の成果を反映させています。ご参加いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。
農文協ブックレット『はじまった田園回帰』。白熱した昨年の中山間地域シンポジウムの記録です。解題・コーディネートは小田切徳美先生(明治大学)、報告 は藤山浩さん(島根県中山間地域研究センター)、石橋良治さん(島根県邑南町長)、土屋紀子さん(島根県益田市匹見町)。
定価(本体900円 + 税)
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「人口減少=地方消滅」は中央からの罠。「あきらめ論」「農村たたみ論」「一発逆転論」を克服し、「人口と所得の1%取戻し」で女性と子どもと暮らしが輝く島根県の事実と実践に学ぶ真の地方創生